13年前に描いたUTAU漫画。パソコンのデータ整理をしていたら出土しました。
当時はまだクリスタを導入しておらず、コピー用紙に鉛筆で描いたものをスキャンして、フリーのドローイングソフトで色やグレーを塗っていました。
デフォ子の誕生と重音テト、桃音モモの三人娘が揃ってUTAUが発展していく様子を、デフォ子目線で描いた物語です。
XPの画面が懐かしい。
SEINは、確かドイツ語で「存在する」の意味。
(※2025/03/14Google先生の力を使って翻訳できるように、内容の文字を書き起こしました。各言語で読めると思います。)
「DEFOKO SEIN」
デフォ子(一番古い記憶は、何もない暗闇にただ、立ち尽くしている場面だ。
そこにぼんやりと、意識だけが漂っていた。)
(!)
(自分が人に近い形をしている事。自分が声を持っている事。
その声は、合成によって人工的に作られたものだという事。)
(少しずつ、少しずつ、自分の事が分かってきたが、未だ、肝心な事が分からない。)
ヒュー(物の落ちる音)
ドドドドドド(衝撃音)
デフォ子(…音。声。歌…。)
(?)
デフォ子(いつの間に…。)
(静かだが。何かの気配は感じる。)
???「あのぉ…。ここはどこですか?」
「さあ…。」
「私にもよくわからない。」
???「私たち、きっと仲間ですよね。
なんとなくですけど、そんな気がするんです。」
???「君たち、なんでのっぺらぼうなんだい?」
解説(※NOPPERABOUとは、日本の顔の無い妖怪のことです。
上手く翻訳ができないようです。※)
重音テト「いやー、もう、大変だったよ~。」
「歌えないのに歌える事になってるのも、
僕の意志とは全然関係ないのに。」
「おかげで嘘つき呼ばわり!
へとへとで、こんなアホ毛まで立っちゃうしさ。」
ぴょろ~ん(※AHOGEとは、頭の上にある寝癖髪の事。※)
「やっと落ち着いたかと思いきや、今度はよくわからない真っ暗闇にいたの。」
「で、君達。なんでのっぺらぼう『だった』の?」
デフォ子「人の形をしているだけでじゅうぶんだとも思うが。」
重音テト「それでも良いけど、せっかく歌うなら、面白い方がいいじゃん。
オプション♪オプション♪(僕なんてキメラだし。)」
桃音モモ「『歌う』?」(慌てる音)
キイ(ドアを開く音)
重音テト「うん。僕、もうひと眠りしてくるわ。」
バタン(ドアが閉まる音)
デフォ子「あなたも、何かあれば呼ぶから戻っていればいい。」
桃音モモ「え?あっはい。」
デフォ子(歌…。そうだ。私たちは歌声を合成するために作られた。音声データの集合体。)
(誰かい必要とされた時、やっと扉を叩かれる。)
(必要とされるだけ、増えていく。)
バッ…(風が吹く音)
デフォ子(一瞬のように、じわじわと歩み寄るように、「ここ」の仲間は増えた。)
(ただの音声データ集合体ファイルにすぎない私たちは、誰かの創作物の中で、
はじめて命を吹き込まれる。)
ぱさっ(軽い物が落ちる音)
青年「もうやめてやる!」
青年「はぁ…。なんでこんなにクオリティが高いの作れるんだ?」
「いやっ。なんで俺が作るものって低クオリティなんだろう。」
「もう、別に俺が何か作る意味、なくね?」
「きっと、どこかのすごい人が、ものすごいものを作ってくれるだろうし。」
「やめる…。なんの意味もないわ。」
「誰にも聞かれない音楽なんて、なんの意味があるんだよ…?」
カチ(マウスの操作音)
青年「削除しよ…。」
デフォ子「…もし、あなたがいなかったら、その曲は存在しない。」
「この世界中のだれにも、全く同じものを作る事はできないのに」
「聞かれる前に、あなた自身が聞かれないと決めつけていたら、何も始まらない。」
「…………。私の声を聞いて」
カチカチ(マウスの操作音)
青年「明日だ!明日、絶対に消す!」「…たぶん。」
デフォ子(こうして今日もどこかで、新しい音楽が生まれたり消えたりしている。)
(そして)
デフォ子(私たちの世界は無限に広がっている。)
END